多面的機能支払メールマガジン「農村ふるさと保全通信」第99号(令和3年2月26日)
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多面的機能支払 メールマガジン
「農村ふるさと保全通信」 第99号(2020.2.26)
農林水産省農村振興局 多面的機能支払推進室
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多面的機能支払のメールマガジン「農村ふるさと保全通信」の第99号をお届けします。
今回の活動組織紹介では、広域化を機に事務負担軽減や小学校との連携を進める組織、限界集落にありながらも精力的に活動を継続している組織と、積極的な景観形成活動により観光振興につなげている組織について紹介します。
また、活動組織の代表者インタビューとして、北海道名寄市にある組織の代表にお話を伺いました。
▽第99号の記事はこちらから!▽
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kanri/tamen_siharai/nouson_furusato_hozen/index.html
--第99号の目次------------------------------------------------------
1.活動組織の紹介
☆長野原町広域協定(群馬県長野原町)☆
☆津留真菰(つるまこも)環境保全推進会(福岡県行橋市)☆
☆ゆうゆうの里岡本活動組織(奈良県斑鳩町)☆
2.活動組織の代表者インタビュー
☆名寄東資源保全活動組織(北海道名寄市)☆
(編集後記)
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■1.活動組織の活動紹介(1)
〜長野原町広域協定(群馬県長野原町)〜 ■
〜地区概要〜
群馬県北西部にある長野原町を拠点に活動。
活動範囲は、田11ha、畑356ha、水路40km、農道32km、ため池3か所。
〜主な取組〜
◎本地域は中山間地域に位置しており、水路は水利組合を中心に地元住民が協力して維持管理してきたが、担い手の高齢化や減少で農地、水路の保全管理に苦慮している。本事業により、再び地域が一体となって活動できるよう取り組んでいる。
◎当初、2集落で事業に取り組んでいたが、H29年度から新たに3集落が取り組み始めたことを契機として、町主導のもと広域化することとなった。H30年度にもう1集落が加わり、現在は6集落で活動している。
◎広域化したメリットを活かし、広域組織で事務員を雇い、集落の事務負担を軽減している。維持共同活動は各集落で自主的に実施し、長寿命化活動は調整会議を通して実施箇所を決定している。
◎各集落により、農地、農業用施設の維持共同活動を適宜実施するほか、ほたるの保全活動や、小学校と連携した農業用水学習会、遊休農地を利用した稲作体験を実施している。米の収穫後は小学校で保護者とともに試食会を開き、親子で農業を見つめ直すよい機会にもなっている。
◎農地や農業用水路は地域の財産という認識がさらに浸透するよう、今後も活動を継続していきたい。
【長野原町広域協定 代表 市村雄平 】
■1.活動組織の活動紹介(2)
〜津留真菰(つるまこも)環境保全推進会(福岡県行橋市)〜■
〜地区概要〜
福岡県の東部に位置する行橋市の中東部にあり、風光明媚な地域を拠点に活動。
活動範囲は、田34.3ha、畑0.4ha、水路8.5km、農道5.1km。
〜主な取組〜
◎本組織は、現在65歳以上の高齢者が構成員の50%以上を占め、就農者が減少し、すでに限界集落になっているこの地域を守るため、農家、非農家、団体そして地域住民の協力で、高齢化に対応した活動の効率化を目指す取組を行っています。その取組として、平成21年から、水路、農道の法面に防草シートを敷設することにより、草刈りへの労力節減を図り、高齢化による活動参加人数の減少に対応することを目指してきました。
また、景観形成のための施設への植栽として、水路の防草シートを利用してアジサイ・シバザクラ等を植えて管理しており、4月〜6月頃には満開を迎え、地域住民の憩いの場所となっています。
◎広報活動として、地域で看板及びパンフレットを作成しています。また、県内数箇所で行われる研修会での事例発表や、県内外からの視察研修の受け入れも行っています。これからも幅広く取組の情報を提供していきたいと思います。
◎今後も、農村の再生を図るため、農家、非農家、団体とのさらなる連携・支え合いにより、限界集落でありながらも、活動の効率化を目指して地域資源を守り、大自然の美しさや四季折々の素晴らしい景観を伝承していきたいと思います。
【津留真菰環境保全推進会 代表 則松 定市 事務局 西頭 由知】
■1.活動組織の活動紹介(3)
〜ゆうゆうの里岡本活動組織(奈良県斑鳩(いかるが)町)〜 ■
〜地区概要〜
斑鳩町岡本地区は、町の北東部に位置しており、水稲を中心にイチゴや景観作物としてコスモスの集団栽培が盛んです。活動範囲は、田13.89ha、畑1.53ha、水路2.7km、農道2.2km、ため池6か所です。
〜主な取組〜
◎本地区は、法隆寺とともに世界文化遺産に登録され、日本最古の三重塔を有する法起寺に隣接しています。そのため、普段からもハイカーや観光客が頻繁に訪れます。
◎本組織では、農村における景観形成を目的に、約2.5haの農用地でコスモスの植栽活動を行っています。一面に広がるコスモス畑と三重塔風景は、訪れる人からも「景観が美しい」と評判で、今日では秋の風物詩となっています。その景色を目当てに、写真を撮る人、絵を描く人など、多くの人が足を運ぶようになり、より一層の賑わいをみせます。また、本地区には、農産物直売所が数件あり、そこに立ち寄られる人も多く、地域の活性化にも繋がっています。
◎その他にも、本組織では、事業に取り組む以前から悲願であった農道や水路整備にも力を入れています。できるだけ広い範囲で整備が行えるよう、構成員が農道の草刈りや水路の泥あげを実施するなど、経費節減の工夫をしています。農業用施設の整備によって、施設の長寿命化が図られるとともに、より一層の観光振興の効果も期待されます。
〜代表の声〜
本交付金を活用することで、農地や農業用施設の保全活動の参加者は増え、地域のコミュニティが強くなりました。今後も、歴史あるこの地区の農村景観を守っていけるよう、地域で力を合わせ、共同活動に努めていきます。
【ゆうゆうの里岡本活動組織】
■2.活動組織の代表者インタビュー
〜名寄東資源保全活動組織(北海道名寄市)〜■
〜組織の概要〜
北海道北部の天塩川が形成する名寄盆地のほぼ中央に位置する名寄市を拠点に活動。認定農用地は、田254.4ha、畑103.2ha、草地79.0ha。対象施設は、水路55.7km、農道43.5km。平成20年度の農地・水・環境保全向上対策から共同活動に取り組んでいる。
Q: 組織を立ち上げたきっかけを教えてください。
A: 名寄市内の他の活動組織が平成19年度から取組を開始しており、活動の様子を見聞きして農地周辺の維持管理や農村環境を保全するためには素晴らしい事業だと思い、地域共同で取組を開始しました。
当時私は、農業基盤整備事業の期成会※の代表だったため、農地・水では副代表をしていましたが、平成28年にある程度基盤整備の事業が終了し、役員改選の時期でもあったため、私が代表になりました。
注)期成会※:事業推進を目的として地区内の農業者等で構成される組織
Q: 活動組織の代表になって苦労した点や工夫している点などはありますか?
A: 農業基盤整備事業の期成会の代表になったのは16年前の32歳でしたが、まだ若くて経験も浅かったので、関係者に事業内容などを説明し、全員から納得をいただきながら地域の合意を取りまとめることは、非常に苦労しました。本事業としては、36歳で副代表、44歳で代表を引き継ぎましたが、期成会での代表経験が活かされ、地域の合意形成に基づき事業を比較的スムーズに進めることができていると思います。
また、私の地域では比較的パソコンの扱いに慣れている若者が役員になることが多く、このことが、若手の役員登用を促進し、地域のまとめ役の育成にもつながっていると思います。役員を引き継ぐ際は、役員経験のある年配の方から助言をいただき、出来るだけ若手に権限を委譲した上で、活動への理解や協力をしていただいていることが、地域の円滑な世代交代を進めていると考えています。
Q: 構成員の参加を促すことについて、うまく行った事例はありますか?
A: 今までは役員のみで農地や施設の点検・機能診断を行い、補修等が必要な箇所に優先順位をつけていましたが、今年度からは出来るだけ多くの構成員を集め、点検・機能診断を行い、優先順位も全員で話し合って決めることにしました。
構成員の中には自分の農地周り以外の農地や施設を見る機会が少ない方もいたので、この取組により組織全体で地域の農地や施設を維持管理しているという意識が一層深まり、構成員内での優先順位のつけ方の透明度が増すとともに、組織内での話し合いも活発になりました。
Q: 力を入れて取り組んでいる活動や取り組んでよかった活動などはありますか。
A: 雨水を一時的に水田に貯留する田んぼダムやPTAと連携した清掃活動などがあります。田んぼダムでは、本事業の活動前は、上流からの水が直接下流域へ放流され、下流の農業者が浸水等の被害を受けていました。田んぼダムの取組を開始してからは、全ての水田農家に堰板の配布を行い、総会でも構成員へ周知して大雨の予報となる際に協力をお願いしています。また、災害発生時等の緊急連絡体制を毎年整理し、組織だけでなく市や土地改良区とも連携をとれる体制を構築することにより、防災意識が高まりました。
清掃活動では、従前からPTAと連携し、地域の小学生とゴミ拾いを行っていましたが、子どもたちが楽しめるイベントとなるよう、清掃活動後に小学校裏の川で筏(いかだ)下りをしています。筏下りを行うようになってからは、組織内で「排水時に少しでもきれいな水を川へ戻そう」という意識が高まり、水質保全活動を新たに取り組むきっかけとなりました。また、水路や河川への美化意識が地域一円で高まり、清掃活動範囲が広がるとともに、地域からの参加者も増加し、活動がさらに広がりました。
Q: 今後の展望や目標を教えてください。
A: 本事業を取り組み始めてから、地域で話す機会が増えて、災害や地域の自然環境について考えるきっかけになりました。人の交流の活発化や環境整備など可能性がたくさんある素晴らしい事業だと思うので、今後も有効に活用していきたいと思います。
特に、私たちの地域では、数年前に準絶滅危惧種に指定されているヒメギフチョウの生息が確認され、それ以降、本事業の活動として自然や環境に配慮するために除草剤の散布をやめ、刈り払い機による草刈りに変更しました。今後、生態系保全の取組として大学関係者等と連携し、ヒメギフチョウの保全に関する啓発などに取り組んでいきたいと考えています。
■編集後記■
2回目となる緊急事態宣言が東京を含む10都府県に対して延長されてから約1か月が経ちました。延長期限となる3月7日が目前に迫る中、宣言解除に向けた動きが進んでいるようです。ワクチンの接種も始まり、だんだんとコロナウイルスを克服する希望が見えてきました。
一方で、外出自粛要請は依然と継続される中、友人との外での飲み会などはめっきりとなくなってしまい、運動する量も減ってしまいました。先日、4人でオンライン飲み会をした際には、数か月ぶりに見る全員が(自分も含めて)悉くふっくらしていたのが印象的でした。
また、次号第100号の配信では、当室で作成した動画についてお知らせいたします。乞うご期待!
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◇「多面的機能支払交付金のロゴマーク」◇
ロゴマークは以下のサイトからご利用になれます。
どんどんご活用ください!!
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メールマガジンに関するご意見・ご感想や取り上げて欲しいテーマ、ご自身の所属する活動組織の紹介文(300字程度)等に関するメールをお待ちしております!!
tamen_ml@maff.go.jp
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【発行】
〒100—8950 東京都千代田区霞が関1—2—1
農林水産省農村振興局整備部農地資源課
多面的機能支払推進室(担当:岡田、小林)
TEL:03—3502—8111(内線5493)
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今回の活動組織紹介では、広域化を機に事務負担軽減や小学校との連携を進める組織、限界集落にありながらも精力的に活動を継続している組織と、積極的な景観形成活動により観光振興につなげている組織について紹介します。
また、活動組織の代表者インタビューとして、北海道名寄市にある組織の代表にお話を伺いました。
▽第99号の記事はこちらから!▽
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kanri/tamen_siharai/nouson_furusato_hozen/index.html
--第99号の目次------------------------------------------------------
1.活動組織の紹介
☆長野原町広域協定(群馬県長野原町)☆
☆津留真菰(つるまこも)環境保全推進会(福岡県行橋市)☆
☆ゆうゆうの里岡本活動組織(奈良県斑鳩町)☆
2.活動組織の代表者インタビュー
☆名寄東資源保全活動組織(北海道名寄市)☆
(編集後記)
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■1.活動組織の活動紹介(1)
〜長野原町広域協定(群馬県長野原町)〜 ■
〜地区概要〜
群馬県北西部にある長野原町を拠点に活動。
活動範囲は、田11ha、畑356ha、水路40km、農道32km、ため池3か所。
〜主な取組〜
◎本地域は中山間地域に位置しており、水路は水利組合を中心に地元住民が協力して維持管理してきたが、担い手の高齢化や減少で農地、水路の保全管理に苦慮している。本事業により、再び地域が一体となって活動できるよう取り組んでいる。
◎当初、2集落で事業に取り組んでいたが、H29年度から新たに3集落が取り組み始めたことを契機として、町主導のもと広域化することとなった。H30年度にもう1集落が加わり、現在は6集落で活動している。
◎広域化したメリットを活かし、広域組織で事務員を雇い、集落の事務負担を軽減している。維持共同活動は各集落で自主的に実施し、長寿命化活動は調整会議を通して実施箇所を決定している。
◎各集落により、農地、農業用施設の維持共同活動を適宜実施するほか、ほたるの保全活動や、小学校と連携した農業用水学習会、遊休農地を利用した稲作体験を実施している。米の収穫後は小学校で保護者とともに試食会を開き、親子で農業を見つめ直すよい機会にもなっている。
◎農地や農業用水路は地域の財産という認識がさらに浸透するよう、今後も活動を継続していきたい。
【長野原町広域協定 代表 市村雄平 】
■1.活動組織の活動紹介(2)
〜津留真菰(つるまこも)環境保全推進会(福岡県行橋市)〜■
〜地区概要〜
福岡県の東部に位置する行橋市の中東部にあり、風光明媚な地域を拠点に活動。
活動範囲は、田34.3ha、畑0.4ha、水路8.5km、農道5.1km。
〜主な取組〜
◎本組織は、現在65歳以上の高齢者が構成員の50%以上を占め、就農者が減少し、すでに限界集落になっているこの地域を守るため、農家、非農家、団体そして地域住民の協力で、高齢化に対応した活動の効率化を目指す取組を行っています。その取組として、平成21年から、水路、農道の法面に防草シートを敷設することにより、草刈りへの労力節減を図り、高齢化による活動参加人数の減少に対応することを目指してきました。
また、景観形成のための施設への植栽として、水路の防草シートを利用してアジサイ・シバザクラ等を植えて管理しており、4月〜6月頃には満開を迎え、地域住民の憩いの場所となっています。
◎広報活動として、地域で看板及びパンフレットを作成しています。また、県内数箇所で行われる研修会での事例発表や、県内外からの視察研修の受け入れも行っています。これからも幅広く取組の情報を提供していきたいと思います。
◎今後も、農村の再生を図るため、農家、非農家、団体とのさらなる連携・支え合いにより、限界集落でありながらも、活動の効率化を目指して地域資源を守り、大自然の美しさや四季折々の素晴らしい景観を伝承していきたいと思います。
【津留真菰環境保全推進会 代表 則松 定市 事務局 西頭 由知】
■1.活動組織の活動紹介(3)
〜ゆうゆうの里岡本活動組織(奈良県斑鳩(いかるが)町)〜 ■
〜地区概要〜
斑鳩町岡本地区は、町の北東部に位置しており、水稲を中心にイチゴや景観作物としてコスモスの集団栽培が盛んです。活動範囲は、田13.89ha、畑1.53ha、水路2.7km、農道2.2km、ため池6か所です。
〜主な取組〜
◎本地区は、法隆寺とともに世界文化遺産に登録され、日本最古の三重塔を有する法起寺に隣接しています。そのため、普段からもハイカーや観光客が頻繁に訪れます。
◎本組織では、農村における景観形成を目的に、約2.5haの農用地でコスモスの植栽活動を行っています。一面に広がるコスモス畑と三重塔風景は、訪れる人からも「景観が美しい」と評判で、今日では秋の風物詩となっています。その景色を目当てに、写真を撮る人、絵を描く人など、多くの人が足を運ぶようになり、より一層の賑わいをみせます。また、本地区には、農産物直売所が数件あり、そこに立ち寄られる人も多く、地域の活性化にも繋がっています。
◎その他にも、本組織では、事業に取り組む以前から悲願であった農道や水路整備にも力を入れています。できるだけ広い範囲で整備が行えるよう、構成員が農道の草刈りや水路の泥あげを実施するなど、経費節減の工夫をしています。農業用施設の整備によって、施設の長寿命化が図られるとともに、より一層の観光振興の効果も期待されます。
〜代表の声〜
本交付金を活用することで、農地や農業用施設の保全活動の参加者は増え、地域のコミュニティが強くなりました。今後も、歴史あるこの地区の農村景観を守っていけるよう、地域で力を合わせ、共同活動に努めていきます。
【ゆうゆうの里岡本活動組織】
■2.活動組織の代表者インタビュー
〜名寄東資源保全活動組織(北海道名寄市)〜■
〜組織の概要〜
北海道北部の天塩川が形成する名寄盆地のほぼ中央に位置する名寄市を拠点に活動。認定農用地は、田254.4ha、畑103.2ha、草地79.0ha。対象施設は、水路55.7km、農道43.5km。平成20年度の農地・水・環境保全向上対策から共同活動に取り組んでいる。
Q: 組織を立ち上げたきっかけを教えてください。
A: 名寄市内の他の活動組織が平成19年度から取組を開始しており、活動の様子を見聞きして農地周辺の維持管理や農村環境を保全するためには素晴らしい事業だと思い、地域共同で取組を開始しました。
当時私は、農業基盤整備事業の期成会※の代表だったため、農地・水では副代表をしていましたが、平成28年にある程度基盤整備の事業が終了し、役員改選の時期でもあったため、私が代表になりました。
注)期成会※:事業推進を目的として地区内の農業者等で構成される組織
Q: 活動組織の代表になって苦労した点や工夫している点などはありますか?
A: 農業基盤整備事業の期成会の代表になったのは16年前の32歳でしたが、まだ若くて経験も浅かったので、関係者に事業内容などを説明し、全員から納得をいただきながら地域の合意を取りまとめることは、非常に苦労しました。本事業としては、36歳で副代表、44歳で代表を引き継ぎましたが、期成会での代表経験が活かされ、地域の合意形成に基づき事業を比較的スムーズに進めることができていると思います。
また、私の地域では比較的パソコンの扱いに慣れている若者が役員になることが多く、このことが、若手の役員登用を促進し、地域のまとめ役の育成にもつながっていると思います。役員を引き継ぐ際は、役員経験のある年配の方から助言をいただき、出来るだけ若手に権限を委譲した上で、活動への理解や協力をしていただいていることが、地域の円滑な世代交代を進めていると考えています。
Q: 構成員の参加を促すことについて、うまく行った事例はありますか?
A: 今までは役員のみで農地や施設の点検・機能診断を行い、補修等が必要な箇所に優先順位をつけていましたが、今年度からは出来るだけ多くの構成員を集め、点検・機能診断を行い、優先順位も全員で話し合って決めることにしました。
構成員の中には自分の農地周り以外の農地や施設を見る機会が少ない方もいたので、この取組により組織全体で地域の農地や施設を維持管理しているという意識が一層深まり、構成員内での優先順位のつけ方の透明度が増すとともに、組織内での話し合いも活発になりました。
Q: 力を入れて取り組んでいる活動や取り組んでよかった活動などはありますか。
A: 雨水を一時的に水田に貯留する田んぼダムやPTAと連携した清掃活動などがあります。田んぼダムでは、本事業の活動前は、上流からの水が直接下流域へ放流され、下流の農業者が浸水等の被害を受けていました。田んぼダムの取組を開始してからは、全ての水田農家に堰板の配布を行い、総会でも構成員へ周知して大雨の予報となる際に協力をお願いしています。また、災害発生時等の緊急連絡体制を毎年整理し、組織だけでなく市や土地改良区とも連携をとれる体制を構築することにより、防災意識が高まりました。
清掃活動では、従前からPTAと連携し、地域の小学生とゴミ拾いを行っていましたが、子どもたちが楽しめるイベントとなるよう、清掃活動後に小学校裏の川で筏(いかだ)下りをしています。筏下りを行うようになってからは、組織内で「排水時に少しでもきれいな水を川へ戻そう」という意識が高まり、水質保全活動を新たに取り組むきっかけとなりました。また、水路や河川への美化意識が地域一円で高まり、清掃活動範囲が広がるとともに、地域からの参加者も増加し、活動がさらに広がりました。
Q: 今後の展望や目標を教えてください。
A: 本事業を取り組み始めてから、地域で話す機会が増えて、災害や地域の自然環境について考えるきっかけになりました。人の交流の活発化や環境整備など可能性がたくさんある素晴らしい事業だと思うので、今後も有効に活用していきたいと思います。
特に、私たちの地域では、数年前に準絶滅危惧種に指定されているヒメギフチョウの生息が確認され、それ以降、本事業の活動として自然や環境に配慮するために除草剤の散布をやめ、刈り払い機による草刈りに変更しました。今後、生態系保全の取組として大学関係者等と連携し、ヒメギフチョウの保全に関する啓発などに取り組んでいきたいと考えています。
■編集後記■
2回目となる緊急事態宣言が東京を含む10都府県に対して延長されてから約1か月が経ちました。延長期限となる3月7日が目前に迫る中、宣言解除に向けた動きが進んでいるようです。ワクチンの接種も始まり、だんだんとコロナウイルスを克服する希望が見えてきました。
一方で、外出自粛要請は依然と継続される中、友人との外での飲み会などはめっきりとなくなってしまい、運動する量も減ってしまいました。先日、4人でオンライン飲み会をした際には、数か月ぶりに見る全員が(自分も含めて)悉くふっくらしていたのが印象的でした。
また、次号第100号の配信では、当室で作成した動画についてお知らせいたします。乞うご期待!
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