多面的機能支払メールマガジン「農村ふるさと保全通信」第98号(令和3年1月29日)
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多面的機能支払 メールマガジン
「農村ふるさと保全通信」 第98号(2020.1.29)
農林水産省農村振興局 多面的機能支払推進室
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多面的機能支払のメールマガジン「農村ふるさと保全通信」の第98号をお届けします。
今回の活動組織紹介では、年配の方から子供まで幅広い世代で活動に取組み、広報活動を積極的に実施している組織と、近隣小学校と連携して子ども達に農業体験の機会を提供している組織について紹介します。
また、香川県高松市にある組織の女性役員へのインタビュー記事に加え、岡山県玉野市における広域化に向けた取組についてご紹介します。
▽「農村ふるさと保全通信」第98号の記事はこちらから▽
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kanri/tamen_siharai/nouson_furusato_hozen/index.html
--第98号の目次------------------------------------------------------
1.活動組織の紹介
☆島地区農地・水・環境保全会(茨城県水戸市)☆
☆入江干拓環境保全の会(滋賀県米原市)☆
2.活動組織の女性役員インタビュー
☆水・土・里ネット三郎(さぶろう)池(いけ)地域(香川県高松市)☆
3.岡山県玉野市における広域化に向けた取組について
☆たまの農地保全広域活動組織(岡山県玉野市)☆
(編集後記)
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■1.活動組織の活動紹介(1)
〜島地区農地・水・環境保全会(水戸市)〜 ■
〜地区概要〜
本地域は,茨城県水戸市の東部に位置する平坦な田園地帯です。
当活動組織は,地域の農地,農業用施設を今後とも保全するため,維持管理体制の強化の必要性を感じ,平成21年度に組織を設立し,活動を開始しました。
活動範囲は田38.1ha(全て水田),施設は開水路2.9km, パイプライン8.5km,農道2.9kmです。
〜主な取組〜
○ 構成員は農業者,自治会,女性会,子供会等であり,年配の方から子供まで幅広い世代が地域の活動に参加しています。
○ 地域住民や子供会と協力し,施設や道路 法面への彼岸花の植栽や清掃活動を行うことで,農村環境保全や交流機会の創出を図っています。
○ また,地域の収穫祭である霜月御神守(しもつきごじんじ)への参加や子供達へのそば打ちの伝承,定期発行の広報誌「SHIMAgazine」や毎日のブログ更新など幅広く広報活動を実施することで,地域住民活動への理解,農村コミュニティの強化に努めています。
○ こうした取組が評価され,令和元年度に茨城県や茨城県土地改良事業団体連合会等が主催の「第十二回茨城県美しい水土里づくり優良活動表彰」において,茨城県知事賞を受賞しました。
【島地区農地・水・環境保全会 代表 川崎 明男】
■1.活動組織の活動紹介(2)
〜入江干拓環境保全の会(滋賀県米原市)〜 ■
〜地区概要〜
当地区は琵琶湖の北部に位置し、古くは入江内湖と称して湖上交通や漁場としても重要な役割を果たしていました。戦中戦後の食糧増産時代を迎え、国営干拓事業により造成された農地と一部既設地を含んだ地区を対象区域として、平成24年度より入江干拓土地改良区が事務局を預かり活動しています。
活動範囲は、田 183.9ha、畑 4.2ha、農道 19.4km、水路35.6kmです。
〜主な取組〜
〇途絶えていた共同活動の復活
当干拓地は大きく分けて二つの区域に分かれており、東側は県営経営体育成基盤整備事業により整備した区域、西側は昭和60年代に県単小規模事業により整備された区域になっています。
いずれの区域も、かつては地域の住民が当たり前のように行ってきた排水路清掃や農道普請が途絶えがちな状況でしたが、この事業に取り組んだことにより、少しずつではありますが復活してきています。
〇地元出役による地域資源の補修作業
用水路や排水路、道路の点検・機能診断を行い、手に負えないと判断し専門業者に委託するところと、地元からの出役により補修するところに分け実施しています。自分たちの耕作地を自らが補修するので、きめの細かい作業ができていると実感しています。
〇学校田の取り組み
当干拓地内には米原小学校があり、学校敷地の隣接地で耕作されている農家さんから借地し、5年生の皆さんと共に学校田に取り組んでいます。春に田植え、夏に生き物観察会、秋には稲刈りを行い、収穫したお米を家庭科の時間に子ども達に食べていただいています。近年農家の戸数も減少し、農業を体験する機会が減っていることから、このような取り組みが、子ども達に水と土や自然と触れ合える機会を提供し、子ども達はもちろん主催者側としても、楽しみながら今後も長く続けて行きたいと考えています。
【入江干拓環境保全の会 事務局 前田利之】
■2.活動組織の女性役員インタビュー
〜水・土・里ネット三郎池地域(香川県高松市)〜■
〜組織の概要〜
香川県高松市のほぼ中央部に位置し、県下でも代表的なため池として有名な三郎池(※1)に隣接した区域で、土地改良区を中心に22支部(※2)と4水利組合で活動を実施。活動範囲は、田212.3ha、畑3.4ha。対象施設は、水路100km、農道0.3km、ため池7カ所。平成19年度の農地・水・環境保全向上対策の制度から活動に取り組んでいる。
※1 香川県を代表するため池で、満濃太郎(満濃池)、神内次郎(神内池)、三谷三郎(三郎池)という言葉がある。
※2 支部:本活動組織の活動は、土地改良区が管理する水路系統(ため池含む)に準じた単位で実施。元々28水利組合(任意的な組織)存在していたが、土地改良区の施設管理組織として支部化したもので、多面的機能支払の活動単位でもある。
〜インタビュー〜
Q:組織の役員を引き受けたきっかけ、組織の運営等をお聞かせください。
A:本活動組織は、香川県三郎池土地改良区(以下「改良区」という。)の区域内で活動しており、改良区が中心となって運営を担っています。
平成23年度に改良区へ就職したことがきっかけで、必然的に多面的機能支払の事務も行うことになり、現在では、本活動組織の書記及び改良区の事務局長を務めています。
本組織は、平成19年度から活動を行っており、代表が1名、副代表が2名、書記が2名の役員体制で実施しています。書記については、当初から女性を1名含める体制でしたが、平成30年度からは、女性2名体制となっています。
書記の作業内容は、本活動組織の事務処理全般を行っていますが、本活動組織では、複数の活動単位ごとに実施される活動の記録、日当、会計等の書類が提出されてくるので、これらの確認や取りまとめが主な作業です。
Q:事務を行う中で苦労したことをお聞かせください。
A:1年目は、交付金の制度や事務処理方法など全く内容が分からず、市や推進協議会だけでなく他の活動組織にも色々と教えていただきながら、何とか事務作業を行っていました。3年目になれば、ある程度、事務に慣れてきたため、各支部からの参加者名簿、活動写真、日当支払いに関する提出書類の確認及び支払計算等を円滑に行えるようになりました。
本活動組織は、農業者が約620名、非農業者は30を超える団体で構成されており、事務量が膨大である中での取りまとめが大変です。規約に基づき各支部へ適切な日当支払等の事務を実施していますが、支部によっては交付金の割当要望が配分予定額より大きい場合があります。内容によっては役員会を開き、調整を行うこともありますが、構成員のみなさんが協力的なため、円滑に事務が行えている状況です。
また、対象農用地が減少した場合、予算が減少してしまうためすぐに支部へ赴き説明や調整等を行っています。
Q:活動を行う中で心がけている、力を入れている、よかったことをお聞かせください。
A:心がけていることについては、現場における多面的機能支払の活動は積極的に行い、活動以外でも、笑顔でハッキリと大きな声で話すことが大事だと思っています。
私自身が最も力を入れているのは出前授業です。出前授業は近隣にある小学校で実施しています。授業は年2〜3回、小学校3年生、4年生を対象に、主に三郎池の役割、水路の路線、どのような生き物が生息しているか、さらにはお米を育てる上で、いかに水が大切かということ等について説明しますが、生徒が理解しやすいよう工夫して説明するよう心がけています。
例えば、ため池の「ゆる抜き」はお風呂の栓を外して水を抜くイメージ、三郎池の貯水量約176万立方メートルは、大きなプールで何千杯といったような説明をして理解してもらっています。当初は、どのような質問が出るのか不安でしたが、現在では、質問を受けるのが楽しみで、質問が多いほど生徒が興味をもっていただいていると感じられます。
また、校区外から三郎池に遠足で訪れる小学校からも依頼があり、これらの小学生に対しても野外出前授業を行うようになりました。
出前授業後には、生徒たちから出前授業の感想や感謝の寄せ書きをいただいており、それらのコメントを見るとやりがいを感じ、継続的に実施していきたいと思います。
さらに、事務作業を通じて多くの集落の方々と話しをする機会が増えたことにより、活動だけでなくプライベートでも交流がうまれ、なかには収穫した野菜や果物をいつもお裾分けしてくださる方もいて大変うれしく思っています。
このような地域の人々との繋がりやよい出会いがあったことは、大変良かったと思います。
Q:今後の展望や目標をお聞かせください。
A:現在実施している活動について、このまま非農家の方にも一緒に協力していただいて継続していただきたいです。どんどん高齢化が進み農業者が少なくなっているので、活動が継続的に実施できるよう地域の方々に協力していただくことが必要です。
また、三郎池では、本活動組織及び改良区主催による「三郎池クリーンアップ作戦」として3年に一度、水を抜き、池干し、清掃、生態系保全活動を行っています。この活動には、地元小学校、水利組合をはじめ、地域の多くの方々が積極的に参加していただいております。 今年度は開催予定年度ながらも、新型コロナの影響で実施できるかどうかわからない状況ですが、地域全体において大切な財産であるため池への理解を深めて保全に関する意識を醸成していくためにも継続していく必要があります。
さらに、三郎池は桜やツツジの名所でもありますが、近年では、一部枯れている箇所があるため、交付金を活用して桜やツツジの保全活動を行い、訪れる人に「いつ来ても三郎池はきれいで癒やされる」と言っていただける様にすること。そういう景観をずっと維持することができればよいと思っています。
【中国四国農政局 農村振興部 農地整備課 多面的機能支払推進室】
■3.岡山県玉野市における広域化に向けた取組について
〜たまの農地保全広域活動組織(岡山県玉野市)〜■
〜地区概要〜
岡山県の南端に位置し、平野部は約40%でその大部分を農村地帯が占めている。
活動範囲は、令和元年度は19haだったが、令和2年度には取組の拡大により413 haに拡大。
〜広域化に向けた取組〜
市単独費の補助による支援が中心だったが、市の財政状況から地域の要望に対して細やかな対応ができていなかった。そこで、令和2年度から多面的機能支払交付金を活用し、400haの取組面積を目標に、広域活動組織の設立を進めてきた。
集落への説明会を行っていく中で、多面交付金への移行に難色を示す集落もあり、目標面積に黄信号が灯ったり、新型コロナの影響で年度末に予定していた広域組織設立総会が中止となる等、予期せぬ問題が発生したが、話合いを重ねた結果、多くの集落から交付金移行に賛同を得、書面議決により広域組織の設立まで何とかこぎつけた。
現在は、各集落において、これまで通り農地維持活動が順調に行われているところであるが、今後も市内一体で、地域資源の保全管理の推進に寄与していきたい。
【玉野市産業振興部農林水産課農業振興係 係長 遠藤真由】
■編集後記■
緊急事態宣言の再発令から約2週間が経過しました。
一時は2000人を超過した東京の新規感染者数が現在は減少傾向に入るなど一定の効果は出ているものの、依然厳しい感染状況が続いています。医療体制がますます逼迫し、東京オリンピックの開催を危ぶむ声も出てくるようになってきてしまいました。
暗いニュースが続き気が滅入ることもありますが、いつかは明けることを信じて、上手に気分転換しながら乗り越えていきたいですね。最近の個人的な息抜きとしては、動画配信サービスを使って映画やアニメを観ることで、「鬼滅の刃」を(ようやく)観始めました。作中の主人公の台詞「人生には空模様がある。ずっと晴れ続けることはないし、ずっと雪が降り続けることもない。」が印象的です。体調に最大限気をつけて、必ずやってくる春を我慢強く待とうと思います。
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tamen_ml@maff.go.jp
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【発行】
〒100—8950 東京都千代田区霞が関1—2—1
農林水産省農村振興局整備部農地資源課
多面的機能支払推進室(担当:岡田、小林)
TEL:03—3502—8111(内線5493)
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「農村ふるさと保全通信」 第98号(2020.1.29)
農林水産省農村振興局 多面的機能支払推進室
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今回の活動組織紹介では、年配の方から子供まで幅広い世代で活動に取組み、広報活動を積極的に実施している組織と、近隣小学校と連携して子ども達に農業体験の機会を提供している組織について紹介します。
また、香川県高松市にある組織の女性役員へのインタビュー記事に加え、岡山県玉野市における広域化に向けた取組についてご紹介します。
▽「農村ふるさと保全通信」第98号の記事はこちらから▽
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kanri/tamen_siharai/nouson_furusato_hozen/index.html
--第98号の目次------------------------------------------------------
1.活動組織の紹介
☆島地区農地・水・環境保全会(茨城県水戸市)☆
☆入江干拓環境保全の会(滋賀県米原市)☆
2.活動組織の女性役員インタビュー
☆水・土・里ネット三郎(さぶろう)池(いけ)地域(香川県高松市)☆
3.岡山県玉野市における広域化に向けた取組について
☆たまの農地保全広域活動組織(岡山県玉野市)☆
(編集後記)
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■1.活動組織の活動紹介(1)
〜島地区農地・水・環境保全会(水戸市)〜 ■
〜地区概要〜
本地域は,茨城県水戸市の東部に位置する平坦な田園地帯です。
当活動組織は,地域の農地,農業用施設を今後とも保全するため,維持管理体制の強化の必要性を感じ,平成21年度に組織を設立し,活動を開始しました。
活動範囲は田38.1ha(全て水田),施設は開水路2.9km, パイプライン8.5km,農道2.9kmです。
〜主な取組〜
○ 構成員は農業者,自治会,女性会,子供会等であり,年配の方から子供まで幅広い世代が地域の活動に参加しています。
○ 地域住民や子供会と協力し,施設や道路 法面への彼岸花の植栽や清掃活動を行うことで,農村環境保全や交流機会の創出を図っています。
○ また,地域の収穫祭である霜月御神守(しもつきごじんじ)への参加や子供達へのそば打ちの伝承,定期発行の広報誌「SHIMAgazine」や毎日のブログ更新など幅広く広報活動を実施することで,地域住民活動への理解,農村コミュニティの強化に努めています。
○ こうした取組が評価され,令和元年度に茨城県や茨城県土地改良事業団体連合会等が主催の「第十二回茨城県美しい水土里づくり優良活動表彰」において,茨城県知事賞を受賞しました。
【島地区農地・水・環境保全会 代表 川崎 明男】
■1.活動組織の活動紹介(2)
〜入江干拓環境保全の会(滋賀県米原市)〜 ■
〜地区概要〜
当地区は琵琶湖の北部に位置し、古くは入江内湖と称して湖上交通や漁場としても重要な役割を果たしていました。戦中戦後の食糧増産時代を迎え、国営干拓事業により造成された農地と一部既設地を含んだ地区を対象区域として、平成24年度より入江干拓土地改良区が事務局を預かり活動しています。
活動範囲は、田 183.9ha、畑 4.2ha、農道 19.4km、水路35.6kmです。
〜主な取組〜
〇途絶えていた共同活動の復活
当干拓地は大きく分けて二つの区域に分かれており、東側は県営経営体育成基盤整備事業により整備した区域、西側は昭和60年代に県単小規模事業により整備された区域になっています。
いずれの区域も、かつては地域の住民が当たり前のように行ってきた排水路清掃や農道普請が途絶えがちな状況でしたが、この事業に取り組んだことにより、少しずつではありますが復活してきています。
〇地元出役による地域資源の補修作業
用水路や排水路、道路の点検・機能診断を行い、手に負えないと判断し専門業者に委託するところと、地元からの出役により補修するところに分け実施しています。自分たちの耕作地を自らが補修するので、きめの細かい作業ができていると実感しています。
〇学校田の取り組み
当干拓地内には米原小学校があり、学校敷地の隣接地で耕作されている農家さんから借地し、5年生の皆さんと共に学校田に取り組んでいます。春に田植え、夏に生き物観察会、秋には稲刈りを行い、収穫したお米を家庭科の時間に子ども達に食べていただいています。近年農家の戸数も減少し、農業を体験する機会が減っていることから、このような取り組みが、子ども達に水と土や自然と触れ合える機会を提供し、子ども達はもちろん主催者側としても、楽しみながら今後も長く続けて行きたいと考えています。
【入江干拓環境保全の会 事務局 前田利之】
■2.活動組織の女性役員インタビュー
〜水・土・里ネット三郎池地域(香川県高松市)〜■
〜組織の概要〜
香川県高松市のほぼ中央部に位置し、県下でも代表的なため池として有名な三郎池(※1)に隣接した区域で、土地改良区を中心に22支部(※2)と4水利組合で活動を実施。活動範囲は、田212.3ha、畑3.4ha。対象施設は、水路100km、農道0.3km、ため池7カ所。平成19年度の農地・水・環境保全向上対策の制度から活動に取り組んでいる。
※1 香川県を代表するため池で、満濃太郎(満濃池)、神内次郎(神内池)、三谷三郎(三郎池)という言葉がある。
※2 支部:本活動組織の活動は、土地改良区が管理する水路系統(ため池含む)に準じた単位で実施。元々28水利組合(任意的な組織)存在していたが、土地改良区の施設管理組織として支部化したもので、多面的機能支払の活動単位でもある。
〜インタビュー〜
Q:組織の役員を引き受けたきっかけ、組織の運営等をお聞かせください。
A:本活動組織は、香川県三郎池土地改良区(以下「改良区」という。)の区域内で活動しており、改良区が中心となって運営を担っています。
平成23年度に改良区へ就職したことがきっかけで、必然的に多面的機能支払の事務も行うことになり、現在では、本活動組織の書記及び改良区の事務局長を務めています。
本組織は、平成19年度から活動を行っており、代表が1名、副代表が2名、書記が2名の役員体制で実施しています。書記については、当初から女性を1名含める体制でしたが、平成30年度からは、女性2名体制となっています。
書記の作業内容は、本活動組織の事務処理全般を行っていますが、本活動組織では、複数の活動単位ごとに実施される活動の記録、日当、会計等の書類が提出されてくるので、これらの確認や取りまとめが主な作業です。
Q:事務を行う中で苦労したことをお聞かせください。
A:1年目は、交付金の制度や事務処理方法など全く内容が分からず、市や推進協議会だけでなく他の活動組織にも色々と教えていただきながら、何とか事務作業を行っていました。3年目になれば、ある程度、事務に慣れてきたため、各支部からの参加者名簿、活動写真、日当支払いに関する提出書類の確認及び支払計算等を円滑に行えるようになりました。
本活動組織は、農業者が約620名、非農業者は30を超える団体で構成されており、事務量が膨大である中での取りまとめが大変です。規約に基づき各支部へ適切な日当支払等の事務を実施していますが、支部によっては交付金の割当要望が配分予定額より大きい場合があります。内容によっては役員会を開き、調整を行うこともありますが、構成員のみなさんが協力的なため、円滑に事務が行えている状況です。
また、対象農用地が減少した場合、予算が減少してしまうためすぐに支部へ赴き説明や調整等を行っています。
Q:活動を行う中で心がけている、力を入れている、よかったことをお聞かせください。
A:心がけていることについては、現場における多面的機能支払の活動は積極的に行い、活動以外でも、笑顔でハッキリと大きな声で話すことが大事だと思っています。
私自身が最も力を入れているのは出前授業です。出前授業は近隣にある小学校で実施しています。授業は年2〜3回、小学校3年生、4年生を対象に、主に三郎池の役割、水路の路線、どのような生き物が生息しているか、さらにはお米を育てる上で、いかに水が大切かということ等について説明しますが、生徒が理解しやすいよう工夫して説明するよう心がけています。
例えば、ため池の「ゆる抜き」はお風呂の栓を外して水を抜くイメージ、三郎池の貯水量約176万立方メートルは、大きなプールで何千杯といったような説明をして理解してもらっています。当初は、どのような質問が出るのか不安でしたが、現在では、質問を受けるのが楽しみで、質問が多いほど生徒が興味をもっていただいていると感じられます。
また、校区外から三郎池に遠足で訪れる小学校からも依頼があり、これらの小学生に対しても野外出前授業を行うようになりました。
出前授業後には、生徒たちから出前授業の感想や感謝の寄せ書きをいただいており、それらのコメントを見るとやりがいを感じ、継続的に実施していきたいと思います。
さらに、事務作業を通じて多くの集落の方々と話しをする機会が増えたことにより、活動だけでなくプライベートでも交流がうまれ、なかには収穫した野菜や果物をいつもお裾分けしてくださる方もいて大変うれしく思っています。
このような地域の人々との繋がりやよい出会いがあったことは、大変良かったと思います。
Q:今後の展望や目標をお聞かせください。
A:現在実施している活動について、このまま非農家の方にも一緒に協力していただいて継続していただきたいです。どんどん高齢化が進み農業者が少なくなっているので、活動が継続的に実施できるよう地域の方々に協力していただくことが必要です。
また、三郎池では、本活動組織及び改良区主催による「三郎池クリーンアップ作戦」として3年に一度、水を抜き、池干し、清掃、生態系保全活動を行っています。この活動には、地元小学校、水利組合をはじめ、地域の多くの方々が積極的に参加していただいております。 今年度は開催予定年度ながらも、新型コロナの影響で実施できるかどうかわからない状況ですが、地域全体において大切な財産であるため池への理解を深めて保全に関する意識を醸成していくためにも継続していく必要があります。
さらに、三郎池は桜やツツジの名所でもありますが、近年では、一部枯れている箇所があるため、交付金を活用して桜やツツジの保全活動を行い、訪れる人に「いつ来ても三郎池はきれいで癒やされる」と言っていただける様にすること。そういう景観をずっと維持することができればよいと思っています。
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■3.岡山県玉野市における広域化に向けた取組について
〜たまの農地保全広域活動組織(岡山県玉野市)〜■
〜地区概要〜
岡山県の南端に位置し、平野部は約40%でその大部分を農村地帯が占めている。
活動範囲は、令和元年度は19haだったが、令和2年度には取組の拡大により413 haに拡大。
〜広域化に向けた取組〜
市単独費の補助による支援が中心だったが、市の財政状況から地域の要望に対して細やかな対応ができていなかった。そこで、令和2年度から多面的機能支払交付金を活用し、400haの取組面積を目標に、広域活動組織の設立を進めてきた。
集落への説明会を行っていく中で、多面交付金への移行に難色を示す集落もあり、目標面積に黄信号が灯ったり、新型コロナの影響で年度末に予定していた広域組織設立総会が中止となる等、予期せぬ問題が発生したが、話合いを重ねた結果、多くの集落から交付金移行に賛同を得、書面議決により広域組織の設立まで何とかこぎつけた。
現在は、各集落において、これまで通り農地維持活動が順調に行われているところであるが、今後も市内一体で、地域資源の保全管理の推進に寄与していきたい。
【玉野市産業振興部農林水産課農業振興係 係長 遠藤真由】
■編集後記■
緊急事態宣言の再発令から約2週間が経過しました。
一時は2000人を超過した東京の新規感染者数が現在は減少傾向に入るなど一定の効果は出ているものの、依然厳しい感染状況が続いています。医療体制がますます逼迫し、東京オリンピックの開催を危ぶむ声も出てくるようになってきてしまいました。
暗いニュースが続き気が滅入ることもありますが、いつかは明けることを信じて、上手に気分転換しながら乗り越えていきたいですね。最近の個人的な息抜きとしては、動画配信サービスを使って映画やアニメを観ることで、「鬼滅の刃」を(ようやく)観始めました。作中の主人公の台詞「人生には空模様がある。ずっと晴れ続けることはないし、ずっと雪が降り続けることもない。」が印象的です。体調に最大限気をつけて、必ずやってくる春を我慢強く待とうと思います。
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